旅で感じる生ニュース
2008.12.08 21:08 ニジェール Niger

ボロロの美男子に会いに行く途中、軍にカメラを向けて、二度も軍の取り調べを受けたKmala KMAR。一度目は、適当に一枚だけ写真を消去してごまかし、二度目は、機転を利かせて事前にメモリーカードを差し替えておいたので事なきを得た。そして今日、問題の写真を公開する。本日の「アフリカいぼ痔紀行ニジェール編」も前回の続きだよ!
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「アフリカいぼ痔紀行」ってなにっていうおともらちは、暇だったら以下を読んでくださいね!
◆ 名誉領事館
◆ あたしがマラリアにかかったら…
◆ あたしの秘密、暴露します!
◆ お喋りなパリの夜
◆ お洒落すぎ!
◆モロッコ本編
◆ベナン本編
◆ニジェール本編
◆番外編「世界の看板」
![IMG_1246[1]](http://blog-imgs-19.fc2.com/t/a/b/tabetabi/20081104180710s.jpg)
トゥアレグ浜田 ボロロ族オルティ
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ニジェールから無事持ち出した画像データをどう扱うべきか。政府軍が、あたしに圧力をかけて消去させようとした問題の写真を、あたしは気軽にこのブログで公開していいものなのだろうか。正直色々と悩んだ。
そしてこの記事がその答えである。写真はこの通りブログで公開することにした。あたしは自分が見たものを、自分なりに伝えたい。それが、ニジェール政府の思惑にいささか反するものであったとしても、あたしが旅して感じたことは、あたしの中で真実である。ニジェール政府当局に、第三者の意見を封印する権利はない。

◆ Kmala KMARを取り調べたニジェール政府軍の皆さま
ご覧の通り写真は、何の変哲もないバスや軍隊のスナップである。人が殺されている決定的瞬間の写真でもなければ、軍人のアイデンティティーを暴露するような写真でもない。もちろん平和呆けした我々からすれば、いささかショッキングな写真ではあるが、北部ニジェールでは日常の光景だ。アガデス近郊を走る長距離バスには、決まって政府軍の護衛がつく。
イギリスに戻りネット検索をしていた時のこと。フランスの通信社AFPが報じた、フランス人ジャーナリストに関する記事に遭遇した。前回のエントリーに書いた、トゥアレグ浜田が話していたフランス人ジャーナリストのことである。
ニジェールで逮捕・起訴されていた仏人ジャーナリストが保釈
【1月18日 AFP】ニジェールで反政府武装闘争を展開する部族のメンバーに取材した罪で起訴され、死刑宣告の恐れも出ていた仏人ジャーナリスト2人が、保釈金を支払い帰国できる見通しとなった。2人の弁護士が18日、明らかにした。
2人は仏アルテ(Arte)テレビの記者で、ニジェール北部でトゥアレグ(Tuareg)族の反政府武装勢力メンバーにインタビューを行ったことが「ニジェール国家の治安を脅かし」同国法に抵触したとされ、前月17日、同国当局に逮捕・起訴された。有罪となった場合は、最高刑で死刑の可能性もでていた。
2人は、取材許可を得ていたニジェール南部で鳥インフルエンザのレポート番組の取材を行った後、トゥアレグ族にインタビューするため北部に向かったという。
保釈金を支払い次第、同日午後にも保釈され、フランスに帰国できる見込み。しかし、裁判は2人の保釈後も続行されるという。(c)AFP
フランス人ジャーナリストが政府軍に拘束された2週間後、あたしも軍の取り調べを受けた。あたしの場合、ボロロの美男子に会いに行くという、お気楽ご気楽な旅の途中。自動小銃を引っさげた、一見テロリスト的な見てくれの政府軍に取り囲まれ、一瞬ドキッとしたものの、問題なく開放され事なきを得た。しかし仏人ジャーナリストは、反政府武装勢力を取材し、ニジェールの法廷にまで引きずり出されてしまったのである。
実はこの旅で、あたしは二度、アガデスにある軍の司令部に呼び出されている。一度目は、アガデスに到着した時。そして二度目は、ボロロの村から再びアガデスに戻った時。当初、この管理体制は、外国人の身柄の安全を確保する為に、アガデスに入る全ての外国人に軍司令部が出頭を義務づけているのだと思っていた。そして、政府が、外国人旅行者のサハラ入りを許可しないのも、同じく反政府武装勢力の攻撃から、旅行者を守る為の措置だと考えていた。
しかし、軍の執拗な取り調べを受けた今、あたしは政府の別の思惑を垣間見たような気がする。すなわち、この外国人の出頭義務は、検閲という目的も兼ねているのである。アガデスに来る全ての外国人を軍司令部に出頭させ、ジャーナリストが紛れ込んでいないか、政府に都合の悪いことをする人間がいないかどうか、虱潰しに調べているのである。
情報コントロール。ニジェール政府は、人々から言論の自由を奪い、北部ニジェールから一切のジャーナリストを排除しようとしている。外国人ジャーナリストだけではない。ニジェール人のジャーナリストも投獄の憂き目を見ている。政府は、国内外のメディアから、北ニジェールの実情をひた隠しに隠し、トゥアレグの反政府武装勢力の存在を砂漠の砂に封印しようとしているのである。
今年の7月18日、ニジェールにおける「国境なき医師団」の一時活動停止が言い渡された。
国境なき医師団、ニジェールで活動停止命令受ける
【7月29日 AFP】医療援助団体「国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres、MSF)」は26日、ニジェールで支援活動の一時停止命令が出されことを受け、活動の継続を求めて同国政府に働きかけていることを明らかにした。
MSFは22日、ニジェール内務相が同団体の支援活動を一時停止したとの通達を受けた。停止理由は告げられなかったという。MSF幹部の1人は「活動を再開できるよう、二ジェールの大統領や閣僚との協議の場を設けたい」と話した。
地元ラジオは、MSFフランス支部の一部関係者と、同国でのウラン採掘による利益の分配を主張するトゥアレグ人(Tuareg)反政府勢力とのつながりを指摘している。
MSFは同国で、今年に入ってから栄養不良児1万4000人以上の治療にあたり、現在も3400人以上の子どもの治療を行っているという。(c)AFP
この事態に対し、「国境なき医師団」は、10月31日のプレスリリースで、詳細な説明も無いまま活動を停止が言い渡されたと伝えている。一方AFPの記事では、「国境なき医師団」の関係者と反政府武装勢力とのつながりが指摘されている。
もしAFPが伝えたことが事実だとすると、驚くべきことに、栄養失調で苦しむ子供たちから治療の機会を奪ってまで、政府は、トゥアレグ反政府武装勢力と外部の関係を断ち切ろうとしていることになる。そんなことをして、一体何になるというのだろうか…
ニジェールは国連の人間開発指数(2007年/2008年)で177カ国中174位にランク付けられる最貧国だ。国民の60%が1日1ドル以下で生活し、15歳以上の成人の10人に7人が読み書きができず、生まれてくる子供の4人に1人は5歳にならないうちに死んでしまう。
外貨の確保は、ウランによるところが大きい。ニジェールは、カナダ、オーストラリア、カザフスタン、ロシアにつぐ世界第5位のウラン産出国である。政府は、元宗主国にて原子力発電大国であるフランスのエネルギー会社や、目覚しい経済発展を遂げる中国の国営企業にウランの利権を売り、外貨を獲得しようとしている。実は、そのウランの鉱山や、鉱山開発予定地などが点在しているのが、代々トゥアレグが暮らしてきた北部ニジェール、サハラ砂漠なのである。
2007年2月、「正義のためのニジェール運動(MNJ)」というトゥレレグの反政府武装勢力が活動を開始。MNJは、ウラン鉱山がもたらす経済効果をトゥアレグ族も享受できるよう政府に要求し、政府軍施設などを散発的に襲撃している。政府は、MNJを「武装強盗団」とみなし、一切の話し合いを拒絶。徹底抗戦の姿勢を崩さない。両者の溝は深まるばかりだ。
トゥアレグ浜田やオルティなどの一般市民は、MNJの暴力を絶対的に否定している。しかしながら、ニジェールの政治は首都ニアメのある南部が中心だ。北部ニジェールに広がるサハラ砂漠に代々暮らしている遊牧民は、中央政府からおざなりにされてきたというのもまた事実である。金を生み出すウランという地下資源を産出するのは、くしくもトゥアレグが住むサハラだと言うのに、その富は、トゥアレグに還元されていない。
もちろん、物事はそれほど単純ではない。トゥアレグを代表する北部遊牧民だけが苦しんでいるわけでもない。国民の大多数が貧困と隣りあわせで暮らしている。これは、ヨーロッパの植民地政策による傷跡だと主張する人もいるだろう。しかしながら、ただ過去を振り返ったところで何になるというのか。先を見据えて抜本的改革を行われない限り、現状は打破できない。そしてそれは、言葉で言うほど簡単なことではないのである。
写真を見ていて思う。まず、暴力を暴力で征したところで、何の解決にもならないということを…
続く。
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